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【スラックスがつないだ物語】Vol.2

【スラックスがつないだ物語】Vol.2

第二話『海を越えてつながった、忘れられないご縁』

販売員として働いていた頃、たくさんのお客様とのご縁がありました。
その中でも、今なお忘れられない、心温まる思い出があります。

今回は、遠く海外からお越しくださった、あるお客様とのお話です。

■半年に一度、海外からのお客様

百貨店のゴルフ売場で販売をしていたころ、半年に一度ほど海外からご来店されるお客様が
いらっしゃいました。
ふくよかな体型で、とてもお茶目。穏やかで優しい60代くらいのダンディな男性でした。

ご来店のたびに、クロイドンのカジュアルパンツを2~3本お買い上げくださるお客様です。

初めてお会いしたのは、お一人で売場に立ち寄られた時のことでした。
身振り手振りで、どうやらウエストサイズが分からないので測ってほしい、というご様子。

早速、ウエストをお測りすると・・・

105cm!

英語が苦手だった私は、紙に「105cm」と書きながら、なぜか日本語で

「ヒャクゴー!」

と、お伝えしたのです。
今、思い返してもちょっと恥ずかしいお話です(笑)
ところが、その言葉にお客様が反応され、

「ヒャクゴー??オーッ!ヒャクゴー!」

と、なんとも楽しそうに繰り返されたのです。
「ヒャクゴー」という響きが気に入られたのでしょうか・・・。

その後、何本かご試着いただき、3本のパンツをお買い上げくださいました。
これが、私とそのお客様との最初の出会いでした。

■私たちだけの合言葉

それから半年ほど経ったころ。再び売場にお越しくださったお客様は、私の顔を見るなり、

「ヒャクゴー!」

と、笑顔で声をかけてくださいました。それ以来、「ヒャクゴー!」は私たちの合言葉になりました。
時にはお腹のあたりを指さしながら、ジェスチャーで

「少し瘦せたから、もう一度測ってみて」とおっしゃることも。

そこでウエストをお測りすると・・・

「ヒャクゴー!です!」

するとお客様も笑顔で

「オーッ!ヒャクゴー!」

まるでお決まりの掛け合いのように、二人で笑い合っていました。
言葉はほんの少ししか通じないのに、不思議なことに会話が弾むのです。

一本のスラックスを間に、身振り手振りと笑顔で過ごす時間。
それは私にとっても本当に楽しいひとときでした。

■ある日知った、驚きの事実

お客様がご来店されるときには、いつも百貨店の社員の方が付き添われ、少し離れたところから
見守っておられました。
何となくですが、外商のお客様なのかな、と思っていました。

そんなある日。
お客様がご試着されている間に、付き添いの社員の方がそっと教えてくださったのです。

「この方、実はすごい人なんですよ。」

そして、こう続けられました。

「大阪に来られると、必ずここに来るとおっしゃるんです。
イタリアでもパンツは売っているのに、来日されるたびに
この売場にパンツを買いに行くって言われるんです・・・」

その言葉にとても驚き、とても嬉しかったのを覚えています。

「えっ?有名な方なんですか?」

と思わず聞き返してしまいました。

詳しいことは教えていただけませんでしたが、後日、ふと思い出し、お名前を検索してみると・・・

なんと!
イタリアの著名なジュエリーデザイナーの方だったのです‼
日本の有名なテレビ番組にも出演されており、写真も掲載されていました。

驚きの連続でした。
そんな方が、エミネントのスラックスを気に入ってくださり、お忙しい中、大阪に来られるたびに足を運んでくださっていたなんて・・・。

改めて胸がいっぱいになりました。
でも私にとっては、有名な方だから特別だったわけではありません。

いつも笑顔で「ヒャクゴー!」と声をかけてくださる、大切なお客様。

そのことは、何も変わりませんでした。

■伝えられなかった「御礼の言葉」

その後も、お客様は何度もご来店いただきました。
お会いするたびに、海外らしい親しみのあるご挨拶をしてくださり、周りのスタッフも、
いつも微笑ましく見守っていました。
私の長い販売生活の中でも、忘れることのできない大切なお客様の一人です。

ただ一つだけ、心残りがあります。
私が、その売場を離れることになったとき、お客様に直接ご挨拶することができなかったのです。

「長い間、本当にありがとうございました。」

その言葉をお伝え出来なかったことが、今でも心に残っています。

その後も、時折お客様のことを思い出しては、お元気にされているだろうかと気になっていました。
後年、インターネットで近況を拝見したところ、第一線からは退かれご子息に代替わりされながらも、
お元気でお仕事を続けておられるご様子を知りました。
お元気にお過ごしになられている事を知り、とても嬉しく思いました。

■海を越えて、想いをつなぐ

振り返ってみると、私たちは言葉を十分に交わすことができませんでした。
それでも笑顔があり、
笑い声があり、
再会を喜び合う仲間がいました。

そして、その真ん中には、いつもスラックスがありました。

言葉が通じなくても、心は通じ合える

販売という仕事を通じて、そんな大切なことを教えてくださったお客様でした。

今、エミネントは、イタリア・フィレンツェで開催される「PITTI UOMO」にも出展し、海外のお客様にも日本のスラックスづくりの魅力をお伝えしております。

あの頃、海を越えて大阪の売場を訪ねてくださったお客様。
その方との思い出は、今の私にとって、国境を越えてエミネントのスラックスを届けていくことの意味を、
改めて感じさせてくれます。

これからも日本のものづくりの技術と、一本一本に込められた想いが、海を越えて多くのお客様に届いてほしい。
そして、その一本から、また新しい出会いや笑顔が生まれてくれたら、こんなに嬉しいことはありません。

今でも、お客様の笑顔と
「ヒャクゴー!」
という楽しそうな声を、懐かしく思い出します。

お客様が、いつまでもお元気でいてくださること、そして、叶うならば、いつかお会いすることが出来ればと思います。

■一本のスラックスには、たくさんの想いが込められています。

一本を丁寧に仕立てる、松浦工場の職人の想い。
お客様一人ひとりに喜んで頂く一本を届けたいと願う、店頭スタッフの想い。
そして、エミネントにかかわるすべてのスタッフの想い。

それぞれが重なり、一本のスラックスとなりお客様の元へ届いていきます。

その一本を選んでくださったお客様との出会い。
その一本を大切に穿いてくださる時間。
そして、その一本から生まれる、人と人とのつながり。

そこから今日もまた、新しい物語が生まれていきます・・・

エミネントは、これからもスラックスを通じて、お客様一人ひとりの人生に寄り添ってまいります。

「スラックスがつないだ物語」は、まだまだ続きます。
次回も販売の現場で生まれた、心温まるエピソードをお届け致します。

■海を越えて世界へ。EMINENTOのスラックス

イタリア・フィレンツェで開催される、世界有数のメンズファッション見本市『PITTI UOMO(ピッティ・ウォモ)』。

世界各国からファッション関係者が集まり、新しいスタイルやものづくりの魅力が発信される国際的な展示会です。

エミネントも、この舞台に出展し、日本のものづくりの技術や穿き心地にこだわったスラックスを海外のお客様にご紹介しています。

今年の2027年6月に開催された、2027年春夏『ピッティ・ウォモ』に出展された、当社の『ROOP』ブランドです。

一本のスラックスを通じて生まれる、人と人とのご縁。

これからも、エミネントのスラックスが海を越え、世界中のお客様との新たな出会いに繋がることを
願っています。

■この物語に出てくる一本のスラックス

エミネントでは、長年培ってきた技術と経験をもとに、お客様一人ひとりの毎日に寄り添うスラックスをご用意しています。

【もの言わぬ ものがもの言う ものづくり】
 エミネントの松浦工場で、創業以来受け継がれている一つの言葉です。

作り手が多くを語らなくても、穿いた瞬間にその仕事が伝わる。
見えないところまで手を抜かず、一つ一つの工程に技術と誠実さを重ねていく。
やがて完成した一本そのものが、作り手に代わって品質を語り始める。

その一本をつくることこそ、エミネントの「ものづくり」です。

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【文・編集】ーエミネントオンラインショップ担当:山根

※この物語は、販売員の実体験をもとに構成されています。お客様のプライバシーに配慮し、一部の表現を調整しております。